「契約の締結」とは,私なりに言うとリスクやリターンが現実化しない間に合意することで,それにより衡平な内容となるというのが,「約束」に関する正義です。言い換えると,事前の合意により,法的権利、責任の内容・所在を明確にする作業です。
書面による契約の目的は、当事者間の交渉に関して合意が成立した場合、両者の間に紛争が生じた場合には、裁判当事者間の取り決めを裁判所に提示することです。
自然人の生活の中で、契約を締結する機会は頻繁に現れます。多くの契約は書面にする必要はありません。取引は物とお金の交換で完了します。
しかし、法人間の契約については,多くの契約はそれほど単純ではなく、ほぼ全て契約書が必要となります。
また、法律によっては、法域によっては、不動産の売買契約や保証契約のように,書面による契約が義務付けられています。
多くの場合,当事者は口頭での取り決めを行い、その後書面でそれを定めようとします。彼らは合意できる契約の条件が何であるかについて理解しているかもしれませんが、彼らはその「瞬間的真実」を書面による契約の条件へ落とし込まなければなりません。
そのためには準備が重要で,肝要なのは,以下の3点です。
①言語の中でも数値(金額やパーセンテージ)などのあいまいさの少ない言語で取り決めておくこと
②その前提条件を明確にすること(e.g.「何」の何%)
③トレーサビリティのため,メールや議事録で常に記録しておくこと(その上で都度当事者で共有しておくこと)
④論点が多岐に亘る場合には表にすること
⑤中間合意書(e.g. MOU:メモランダムオブアンダースタンディング)の活用
人間の記憶は主観によって容易に曲がります。手書きのメモも,ばかにできません。ちゃんと書いてあれば立派な契約ですし,ちゃんと書いていなくても口頭よりはよっぽどましです。訴訟では,手書きで書いた誓約書や契約書が書証となる場合も多いです。
文書の成立要件については,気を付けてください。
最低限,契約の日付の記載,契約が両方の当事者によって署名(サイン又はスタンプ)されていることを確認してください。単に契約内容が印字してある紙は,「文書」ではありません。意思の帰属する主体の明示が必要です。また,その署名は実際に手で本人がその紙に書くか,実際に朱肉で権限のある人間がスタンプする必要があります(コピーは原本とは異なります。)。
また,細かいテクニックですが,用語の統一は重要です。古風な用語をなるべく使用しないでください。契約書の文言も言語です。言語は動態です。平易な言葉で叙述し,それを一般人である契約者双方が読んで,あるいは法律家がそれを見て,意味に争いが生じなければいいのです。
また,各ページの周囲に十分な余白を残します。製本の便宜です。