「会社」の語源
会も社も、文字の本義は、一字にて衆人集団の意義なるべけれども、今日にては、それを二字重ねて法律的にも動かすべからざる新語となれり。されば、最初は種々の意義に用ひ、役所、仲間、組合、協会、または会の義に混用せるが、以下少しくその用例をあげん。西洋の商事会社組織を、まづわが国に紹介したるは、慶応二年版『事情』あり、いはく(実は社債なるべし)、「西洋の風俗にて、大商売を為すに、一商人の力に及ばざれば、五人或は十人仲間を結て其事を共にす。之を商人会社と名つく。アクシヨンと云へる手形を売て金を集む。(利益の配当世間相対にて手形の売買、手形の価の高下等を略説せり)百万両入用なれば、手形百万枚を作り、一枚の価を一両と定め、自国他国の人に拘らず、此手形を買ふ者には、商社より年々四五分の利息を払ふ」といへり。次いで明治二年、政府通商司の下に、通商会社、為替会社の二社成れり。前者は内外の商業を経営するを目的とし、後者は通商会社の経営のために、金融の援助を与へ、その他一般に金融の疏通を謀らしめんとせしものなりき。されども、後年の株式または合資の会社とは同じからず。嘉永頃刊『万国輿地図説補』に、「勧農会社あり、専ら耕作の事を勉励す」とありて、会社にヤクシヨのふり仮名あり。また弱小国の合縦会盟の項に、「永遠相連合して力を戮すべし、此会社之をドイツフルボンドと名つく、此会社の|夥伴《なかま》は……」とあり、聯盟の意に用ひたり。慶応四年四月刊行の『内外新報』の発行所を「海軍会社」といひ、同五月刊行の『東西新聞』第一号記事に「会社」の二字は、ことごとくなかまのふり仮名あり。また明治二年刊行『開智』第六に、「仏国の気灯は、富商等〈社中〉を結び、……又和蘭国気灯は、何れも商人の〈会社〉にて取建云々」、また同書五に、「英国々制、諸学校・病院・幼院及び養老院共、政府の建築せし者は更になく、皆商人等、会社を設けて取建てたる処にて云々」。また同年刊栗本鋤雲の『暁窗追録』に、博覧会を博覧会社といふの類、実にまちまちなり。しかし、明治二年、政府の保護の下に設立せし「通商会社」「為替会社」等は、今日同様、商事会社の意味なり。明治二年公議所『議案』第六号および明治六年七月発布『訴答文例』の第十四条に、商社とあるは、今日の会社をいへるなり。その方が、むしろ適当の名なりしが、いつか会社になりてしまへり。
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「良い会社」とは...
・売れるものを作っている会社
その会社が作っている製品なりソリューションなりが本質的に社会課題に合致していること
・経営者が各人にどんなタレントがあるかを具体的に把握しているないしはできるようになっている会社
経営者が会社の従業員のことが手に取るようにわかっていること
・そのタレントを,個人の特性に応じてパフォームしているないしはできるようになっている会社
各人の能力が,その会社の多様性を構成し,それぞれが伸び伸びとパフォームできるようになっていること
・会社の歴史を把握し,レガシーを有効活用している会社
会社の歴史がその会社なりの強みなり弱みなりを体現するとても大きい要素であり,そこを活用することができていること
・コーポレートブランドが確立している会社
コーポレートブランドは会社の価値の源泉で,情報力や購買力や販売力の源泉となっているため,コーポレートブランドが確立している会社は強い
・すべての活動が利益だけではなくコーポレートブランドの向上に貢献している会社
既に確立しているコーポレートブランドだけではなく,今の活動が今後のコーポレートブランドの向上につながっていること
・従業員が楽しんでいる会社
従業員が,「これを言ってもいいのかな」とびくびくするのではなく,いいことがあれば「早く報告してみんなでわかちあいたい」,悪いことがあれば「早く共有して対処法を誰かと考えたい」と考えるようになっていること
・従業員が育つ環境にある会社
会社に,従業員にチャレンジさせ失敗も経験させる懐の深さがあること
・社内の雰囲気がよい会社
あいさつにはじまりあいさつに終わる
・経営者がやりたいことができている会社
経営者が内発的動機でビジネスアイデアを進めている
・筋が良い会社
直観でいいビジネスであるかどうかを判断する感性の部分は忘れてはならない
・数値でパフォーマンスが計測できている会社
2割5分と3割2分のバッターも数字がないと自信をもって見分けることができない
・何が重要な数値かがわかっている会社
MBAに踊らされず,会社にとって重要な数字をちゃんと取捨選択できていること
・限界利益率が高い会社
限界利益率がマージナルだとボリュームで戦うしかなくマクロリンクがきつくなり自己の意思で未来を切り開けなくなりがち
・固定費は適正な範囲内にある会社
固定費先行は後ろ向きな戦いから始まってしまい,後手後手に回る(当然開発費を莫大にかけて限界費用の低いビジネスをすることもあるので,それは当然あり)
・売りはコンスタントに立っている会社
売れる「かも」ではだめ売れ「ている」ものを持っていないとどうしようもない
・3か月後までの受注に心配がない会社
スタートアップを除くが,経営判断にあたって近い将来は見通しておけるようになっていることが最低限
・どんなに閑散期の月でも月次で経常利益が出ている会社
限界利益 - 固定費 で利益が黒になり続けている会社が潰れることはない
・税金が節約できている会社
税金はイコール,マイナスのキャッシュフローで,経常利益段階のP/Lに表れないが忘れてはならないとても重要な事項
・開発が自由にできている会社
目先の利益を最大化しがちで,開発に自覚的にキャッシュを回せている企業は実は少ない
・試作から量産への移行はうまくできている会社
試作だけに目が行きがちだが,量産に失敗しているのにR&D部門は満足してしまっていないか
・開発のための設備や人員や測定装置が揃っている会社
開発が手弁当になりがちでなかなか企業間の競争に勝てるようにデザインされていない
・品質管理のフィロソフィーがしっかりある会社
品質管理が形式的になりがち,特にISO(経営品質も含む) しっかりやればオペレーションの無駄がなくなる
・顧客・仕入先・外注先に定期的に会い,良い会話ができている会社
近江商人の三方良しの経営
・管理部門が利益に貢献している会社
管理部門が前線の苦しみを認識している/管理部門が内版のソリューションを隙あらば外販しようあるいはできていることが管理部門2.0の姿
・管理部門にリスクマネジメントの発想がある会社
タコつぼに陥り各部門を独立変数化してはならない リスクマネジメント本部として統合的に連携して各部門が有機的に連関していること
・前例踏襲がビジネスであると勘違いしていない会社
言葉の通りで日本のビジネスが陥りやすい弊害
・秘密が少ない会社
情報の格差でのマネジメントをすることは,個別最適には適しているかもしれないが,会社の全体最適にはならないことが多い