企業価値はどのようになれば向上するかっていう話です。
これは日本のバイアウトファンドの草分けの佐山展生さんのプレゼンの内容でしたが,佐山さんはみんなが一生懸命仕事をすれば向上すると。では「仕事」を「一生懸命」するとはどういうことか。
佐山さんは野球ずっとやってるんですね。大学までやってると。その後帝人っていう会社に入ってバイアウトファンドが全くない頃に,バイアウトという概念も日本に全くない時に銀行のM&A部隊に入ってものすごい先進的な取り組みをされ,その後バイアウトファンドを作って今インテグラルというバイアウトファンドでスカイマークの支援とかやってます。
漠然と仕事してるとダメなんですよと。経営者としては,ゲームのルールを考えて,目指すゴールが明確で,成果を出した人が正当に評価する仕組みを作らないと駄目です,ということを仰ってます。
まあそうすると目的は例えばどういうものなんですか,というところが疑問になってくるのですが,例えばスカイマークは何を目指すんだということですが,彼らは定時運航率を日本一にすると,まずはそこをやろう,みたいなそんな話ですね。
ここからは私見です。やっぱりどの会社でも目的が漠然としてきたのを1回M&Aを挟むことによってそこでちょっと心機一転考えることできるわけですね。これは非常に僕は大事にしてます。まあそういう意味ではAgreeです。
ただしロジカルすぎてもダメだと思うんですね。
結果にはつながらなかったけどナイストライをしている人とか,目には見えないけどナイスアシストした人を評価できるのが本当の経営者だと思ってます。もちろん佐山さんもそういう経営者だから人がついてきてるはずです。それでみんな無茶苦茶やる気が出ると思います。
だからそこはある意味業界の経験とかもやっぱりあった方がいいし,経営者が情報弱者じゃダメだと思うんですね。ただしいろいろ飛び越えて色々聞いていくとかしていることには組織上弊害もあるし,自分の中に情報抱え込みすぎることにもなる。ただ情報は拾いに行かなきゃいけないし現場の生の声を聞かないといけない。
後継経営者は,会社の内政と外交をできなければいけません。内部昇格ができれば結構いいと思いますが,人選は非常に重要になると思います。情実に流されてはいけません。そういうことができる経営者肌がいない場合は,プロ経営者に近い人を取ってくることになります。
株主としては,現場の経営者はシビアに評価してあげた方がいいと思います。保身ゲームと(保身なしの)企業価値向上ゲームに分かれます。本音を伝えて,同じゲームをしている状態を作らないと必ず破綻します。経営という複雑系で表面だけ合わせることはできない。この点は非常に大切になります。
株主と投資先の経営陣の利害対立がもつれると,誰かがその本音ベースを突き合わせる役回りをしなければいけません。会社に乗り込んでいくということです。そこに入っていくところに一つの価値ある「仕事」があります。